ネットと言ってもインターネットでは無く、イノシシ、シカ、サル等の野生動物から農作物を守るために敷設している侵入防止ネットのことである。
ご主人様は、猟銃安全指導員として、当地徳島県石井署管轄の石井町と神山町を狩猟期間中巡回パトロールしている。今日は、そのパトロール中に出くわした驚きの出来事をご主人様から聞いたので紹介する。
場所は、10軒余りが住む山里である。時間は朝の11時頃。道路からすぐ上の一軒家の家庭菜園に10匹余りのサルの一団が侵入し、白菜を食べている。ご主人様はすぐさま車を止めて様子を伺う。見張りのサルがご主人様を見つけ全員に危険を合図。しかし、ご主人様が車から降りずに見ていると、こちらに気遣いながらも白菜の葉を剥がして食べている。このままでは、大事に育てた白菜が台無しだと判断したご主人様は静かに車のドアを開け外に出たその時・・・驚きのサル知恵を目撃した!。
それは次の通りだ!。。。1頭の大きなサルが山際に面したネットを両手で持ち上げ肩に掛けると、そこに出来た空間(トンネル)を、先ず子ザルと母ザルの順に潜って出ると、続いて親ザル・・・何と持てるだけの白菜の葉を両脇に抱えたり、片手で引きずったりして持って出る。その光景が実に滑稽で可笑しかったと聞く。また、その行動も実に手慣れた逃げ方であったらしい。
侵入防止ネットが普及して約10年余り。その後に生まれたサルは畑にネットがあるのが当たり前。ネットの裾を持ち上げて家庭菜園に出入りしている人間の行動を周囲から眺めながら学習していたのだろうか・・・。ネットの裾を持ち上げて畑に侵入する・・・と言うような高度な仕種も最初にやるのは子ザルと言われている。「いも洗いサル」や「温泉サル」も最初は子ザルがやりだし、次いで母親、その後他の親ザルもやるようになったと聞く。
こうなれば高価なネットも何も役に立たない・・・。更にネットでサルの侵入を防止するには屋根もネットで覆わないと無理だろう!。それには更なる経費が必要となるが、それよりも年寄りばかりの住民が、このネットの敷設やその後の保守管理ができるかが大きな問題となる。山里にいけば良く見かける電気柵も、適切に敷設し保守管理すれば効果はあるが、電線に草が接触するとそこから電気が地中に流れ全く効果が無くなる。この草刈りと言う保守管理が年寄りの負担となり、放置されている場合も少なくない。
野生動物との共存共栄は皆無としか言いようがない・・・。今は、老ハンターが何とか一定数を捕獲しているが、これも後10年も続かないであろう!。
今後10年後における山村の将来はと聞かれると・・・ハンターも居なくなり、山村は野生動物の天下となって居るだろう・・・と答える。。。
写真は、人が見ていても堂々と食事をするサル