こんにちは。。。四国徳島は、朝から冷たい雨が降っています
これから更に気温が下がり、今夕から明朝にかけて大雪が降るとの気象予報が出ています。先日の様な大雪にならなければ良いのですが・・・。
さて今日は、ドンちゃんと兄弟犬のダイちゃんのオーナー様京都府K氏より、基礎訓練を開始しました・・・と、その様子を写メで送って頂きましたので紹介します。
オーナー様は、若いハンターでダイちゃんを譲渡するまで3度も来舎して頂きました。ダイちゃんは兄妹7頭で、生後60日目で6kgと言うジャンボ子犬で、ご主人様もドンちゃんとダイちゃんのどちらを残すのか真剣に悩んでいました。結局、毛色が黒勝ちで珍しかったと言う単純な理由からドンちゃんが残りました。甲乙付けがたい素晴らしいサツマビーグルの子犬でした。
ここで少し基礎訓練がなぜ重要なのかを説明させて頂きます。
サツマビーグルは長い歳月を掛けて、薩摩と言う独特の風習や文化を持つ土地で、単独猟犬として品種改良されてきました。K氏も単独猟を目指しており、このサツマビーグルを選択してくれました。
今後は先導犬なしでダイちゃんとのマンツーマンの訓練となります。
ご主人様はサツマビーグルの基礎訓練を以下の方法で行っています。我々先住犬もみんな同じ訓練法でシカ猟の完成犬となりました。ご参考になれば幸甚です。
●第一段階=基礎訓練(生後4ヵ月~6か月)
①他犬や他人と接しても仲良くできるコミュニケーション力を学習をする。
※ 犬や人の出入りが多い公園等で散歩させ、来園者と仲良くする。最初は尻尾を下げて警戒するが何日も通うことにより尻尾が上がり、顔見知りの犬や人に尻尾を振って歓迎するようになれば合格。
②車に乗せる学習をする。
※ 最初は10分程乗車することからスタートし、最終的には未舗装の林道で60分余り乗車させて酔わなければ(嘔吐やヨダレ)合格。
③林道に連れて行き遊ばせる。
※ 最初は尻尾を下げて警戒しオドオドするが、訓練者は腰を下ろして「ヨシヨシ」と頭を撫でてやり、心配しなくて良いことを教える。何日も通うことにより尻尾も上がり、走ったり小枝を噛んだりしてじゃれる様になると合格。
④山歩きを学習する。
※ 最初は何時もの林道からゆるいのり面を探して訓練者が先に下りたり上がったりする。子犬が下りたり上ったり出来ずにキャンキャン鳴く場合は、レベルが高いので優しい場所で再訓練する。そして段々と傾斜がキツイのり面を訓練者の後に付いてこれれば合格。訓練は、上るより下りる方が恐怖心が強くなるので時間をかけて、訓練犬自らが勇気を出して自主的に行動できれば合格。
※ 訓練のポイントは、訓練犬と目線を合わさずに知らぬ顔をして、訓練犬が付いてくるまで何時までも待ってやること。声をかけても行けない。甘えは禁物!。
⑤谷川を渡る学習をする。
※ 最初は、少し水が流れ深くない谷から始め、段々と水量も多く深い谷へ進展させ、訓練者に付いてこれれば合格。
※ 訓練は、谷の上り下り、左右の横断を行う。この訓練が最も訓練者の忍耐が要求される。林道の上り下りの要領で、訓練犬が勇気を出して自主的に行動するまで知らぬ顔をして待ってやること。声を出して勇気付けたりしないこと。変な学習をさせればそれが癖となり、自分が出来なければ「キャンキャン・ウォーン」と泣き叫んだりする犬になり回収に手間取る犬になる。
基礎訓練の極意は、訓練犬を信じ「あせらず」「いそがず」「さわがず」の精神で、気長に訓練犬の自主性に任せた訓練を行う。いくら困っても訓練者(主人)は絶対に助けてはくれないことを教える。そして訓練犬が付いてくる(帰って来る)まで訓練者は待っていてくれるという安心感を植え付けること。
⑥応用編を行い仕上がりを確認する。
※ ゆっくりと林道から降り、水が流れる谷筋を下って行き、谷を横切り、対岸の谷筋を登って林道に戻る。途中何かの臭いに反応(鼻を地面に付けて必要に臭いを嗅ぎ尻尾を振る又は高鼻で鼻をクンクンしている等)して足を伸ばして捜索しだしたら、訓練犬が納得して帰ってくるまで待ってやる。そして最終的に訓練者から100m程離れて捜索が出来るようになれば合格。
※ 主人から離れて捜索できない犬には、訓練犬が足元に帰ってきても「知らぬ顔」をして動かないようにする。訓練犬は何時までも訓練者が動かなければ退屈してウロウロ少しづつ遠くに足を伸ばすようになる。遠くまで行ってもGPSで確認し、決して呼んだりしてはいけない。
※ この100m離れて捜索することが出来なければ、できるまで基礎訓練を繰り返し行う。この間、数ヵ月余計に時間が掛かっても猟犬として生活する時間からすると本の僅かな時間である。
この基礎訓練は、第二段階の「山入訓練」の際に、単犬訓練の他、先導犬に付けて訓練する場合にも「山歩き」が十分できるため仕上がりが早く、帰りの良い猟犬になります。
ご主人様は、子犬を我々先住犬に付けて絶対に訓練しません。先導犬に付けることは、単に先導犬のまねごとをしているのであって真の実力ではないことは、訓練犬から先導犬を外して単犬で山入させれば良く分かります。また、先導犬の猟芸(実力)や悪い癖(セルフハンティング等)も全てまねるので犬選びが重要となります。
訓練犬には訓練犬の性格や資質が全て異なることから、時間を掛けて幾らしんどくても訓練犬を信じて基礎訓練をしています。このため種牡や台牝として3年余り山に入れなくても猟芸は落ちたりしません。それはハク号やアキ号で実証済です。
K氏には、上述しました基礎訓練の方法並びに重要性は電話等でしっかりと伝授しており、分からないことはその都度電話してくれていますので、今のところ順調の様です。
来猟期(今年)には、立派なシカ猟の完成犬として活躍してくれることでしょう。。。
頂いたダイちゃんの基礎訓練の様子(写真)を紹介します。
写真① ダイちゃんの兄妹(生後50日)
左から2番目がダイちゃん、4番目がドンちゃんです。
写真② 京都での生活(生後70日目)
この写真は、兄弟と別れた翌日に撮ったものです。少し寂しそうです。日光浴もたっぷりできるウッドデッキに繋いでもらい元気に暮らしています。
写真③ 積雪の杉林での基礎訓練
当地は、積雪が多いのでこの様な基礎訓練は有効と思います。まだ4ヵ月で訓練が始まったばかりなのに凄いです。仕上がりも早いかも・・・
写真④ 下から吹き上げてくる臭をキャッチしているダイちゃん
この杉林には、シカの足跡が沢山付いており、シカの臭いをサツマビーグル特有の高鼻でキャッチしているかも?。しかし、訓練して間もないことから臭いの元に足を伸ばすことは恐怖心が先立ってなかなか出来ないものである。この仕草が見える様になれば猟欲発現も近く、訓練者は訓練犬が場所を変えない限り何時までも知らぬ顔をして待ってやる。そしてもし臭いの元に足を伸ばして捜索して行った場合は、訓練犬が帰るまでその場で待ってやること。そうすることにより訓練犬は安心して広範囲に捜索するようになる。
写真⑤ 訓練に飽きたダイちゃん
尻尾を下げて疲れた様子を見せ、訓練者の方を度々も振り向くような仕草が見えたら訓練終了のサインです。基礎訓練は、訓練犬が何を考え何をしようとしているのか、訓練犬の様子をしっかりと観察することが重要です。
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