ソラの仔犬 幻の「メンカブリ」!
本日は、前回に続き、お約束のソラの仔犬の「メンカブリ」について、少し詳しく紹介したいと思います。
ソラの仔犬は11月17日に生まれました。
我家では、速やかにサツマに相応しくない体型等について検診し、不具合が認められる場合は品種保存上から淘汰しています。
この度も2頭の小さい仔が淘汰される予定でしたが、何と1頭は顔が白い『メンカブリ』と言うとても珍しい毛色の仔犬でした。
発祥の地「鹿児島」では、このメンカブリはとても仕事を良くやると伝承されており、幻のサツマビーグルと言われて来ました。
このメンカブリは、明治後半にフランスのダム建設技師が連れて来たハウンドで、体躯の全身が白がちで耳が大きく長く垂れた絞り耳で、全身に斑点(茶・黒)があり、顔は白っぽく耳だけが茶色(又は黒)で白毛が入っていたと言われています。
ご主人様の推測では、当時フランスのハウンドと言えば「ガスコン・ハウンド」が有名でることから、この犬を連れて来たと考えています。
この犬は、大型と中型がおり、恐らく扱いやすい中型が連れて来られたと思います。
現在、この中型は「プティ・ガスコン・サントンジョア」として残っています。
この犬は、10年ほど前に九州福岡のI氏がフランスに行って系統が異なる牡牝を連れて帰り、3回繁殖され国内にも十数頭が居るはずです。
下の写真が、フランスから持ち帰ったハウンドです。
全身が白勝ちで、背中に斑点(茶・黒)が入り、頭部と耳が黒です。
とても良く響く美しい追い鳴きで獲物を追った様です。
サツマ保存会員様で、宮崎のN氏も牡1頭を福岡I氏より譲り受けシカ猟に使用されていますが、良く響く美しい追い鳴きで追跡すると聞いております。
さて、当時の薩摩「鹿児島」は、地犬「薩摩犬」で狩りを行っており、追い鳴きが無いので西郷(隆盛)さんも犬の首に良く鳴る(響く)鈴を付け、その音を頼りにノウサギ猟をしていた様です。(当時は南洲公のご猟場があったそうです)
そうした中、休日になるとフランス人が耳垂れの白い犬を連れ狩りをしているのを見ていた地元猟師は大変気に入り、フランス人と一緒に仕事をしていた友人に頼み込み、持ち犬「地犬」と交配し仔犬を取りました。
その内、白い犬に似た仔犬を残しノウサギ猟に使ったところ、追い鳴きをするので鈴を付けることもなく、とても良い仕事をしたことから、集落で門外不出として扱われ大事に保存されました。
昭和に入ると、道路事情も良くり耳垂れの白い犬は良く仕事をやると言うことが、口コミで鹿児島全土に知り渡り、各地で居たバセットタイプ、ビーグルタイプ、ハーリアタイプ等々の様々なサツマ系に入血されました。
そして、昭和30年代に入ると各地で品評会が開催される様になり、現在の体型に固定されました。
サツマの誕生(歴史)は、明治後半から当時の政府役人(鹿児島出身)が洋行の折に持ち帰った洋犬(バセット、ビーグル、ハーリア等)を出身地サツマで飼育し、鹿児島に帰った時はウサギ猟を楽しんでいた様です。
・・が、主人が居ない時は使用人が管理してい為に、小銭を握らせ地犬「薩摩犬」に交配した仔犬がサツマ祖犬となりました。
その後、先人達(サツマ愛好家)により約130年と言う長い歳月を掛け、淘汰選別を繰り返し品種改良を行い、現在のサツマビーグルが誕生しました。
尚、サツマ誕生秘話については、ご主人様が約20年前に苦労して纏めました『 サツマビーグルのルーツ 』をご覧ください!。
ここで、繁殖上のポイント・・・
猟芸が優秀ならばと、先人達もメンカブリ同士で何度も交配を試みましたが、残念ながら出来なかった様でです。
即ち、メンカブリはフランス・ハウンドの隔世遺伝(先祖返り)である証拠と考えられます。
ところが、メンカブリの親から生まれた子は、とても仕事が良かった様です。
現在、サツマビークルで声が良く追跡が上手な犬は「先祖犬にフランス・ハウンド血が入っている」と、ご主人様はサツマビーグルの誕生について調査していた時(約25年前)に鹿児島のベテラン猟師から聞かされたようです。
上記の様に、サツマビーグルに関する誕生秘話等をご存知の方も既に亡くなっており、今日ではご主人様が知るのみとなっています。
現在では、サツマビーグルの誕生に関する資料としてはご主人様が公開しています「サツマビーグルのルーツ」が唯一となっております。
前置きが大変長くなりましたが、ソラの仔犬の「メンカブリ」の話しに戻します。
前途しのした様に、メンカブリはとても仕事を良くやることから、2頭の仔犬の内1頭は淘汰れましたが、顔が白い仔犬は汰せず生命力に掛け残されることになりました。
先ず、自然死するだろうと考えられていましたが、一日、又一日と・・何とか生きました・・。
そして、本日、体重を計りますと、何と!・・1.2kgと言う成長ぶりで、生後2週間ほどで1kgも増えており、ご主人様もこの仔犬の未知の可能性に期待を持っておられます。
下の写真が「メンカブリ」の仔犬です・・
右の額に黒が入っていますので、完全なメンカブリでは有りませんが、その特徴は良く出ています。
写真は、今朝に撮ったものです。
又、この仔犬にはメンカブリの特長の一つでもあります耳に白毛が入っています。
下がその写真です。
左耳に白毛が入っており、所謂「ミミジロ」になっています。
尚、フランス・ハウンドの特長は「メンカブリ」だけでは無く、「ミミジロ」「ゴマ」「ハナジロ」と言う形で現れることも有ります。
ですが、メンカブリは栃木のT氏が飼育する1頭のみ、他の特長を持つ犬も非常に少なく、全国でも数頭しか居ないのが現状です。
何れも仕事を良くやり、素晴らしい狩猟犬として活躍しています・・。
・・が、こちらもメンカブリ同様に、遺伝はすることはありません。
どうでしたか???
サツマビーグルが狩猟犬として素晴らしいのは、約130年と言う長い歳月を掛け先人達が次世代へと品種改良を怠らなかった賜であります。
ご主人様曰く『 サツマビーグルは日本固有の獣猟犬として世界に誇れる犬種である 』と・・。
今後は、若いサツマ愛好家が一丸となって犬種団体を設立し「血統書」の発行を行い、何時かはサツマビーグルが純血種としで認められる存在になって欲しいと願って止みません!
下の写真は、プティ・ガスコン・サントンジョワの仔犬です。
九州福岡I氏の繁殖犬で、ソラの仔犬も少し大きくなればこの犬によく似て来ると思います。
<追記>
本来ならメンカブリ仔犬は我家に残したいのですが、2年余りも仔犬を待っておられるオーナー様もいらっしゃいますので、この度の仔犬は全て譲渡することにしました。
メンカブリの仔犬には、3名の方ら是非欲しいと連絡を頂きました。その内の一人は予約されてないにも拘わらず「是非譲渡して欲しい」旨の電話を頂きましたが、「仔犬は完全予約制です」と丁重にお断りさせて頂きました。
尚、メンカブリの仔犬は、我家から行っておりました愛犬を今年亡くされました栃木で林業を営んでおられます若いハンターに譲渡することに決まりました。この仔犬が森林へのシカの食害削減に活躍してくれることを願っています。
では、本日はこの辺で失礼します・・(@^^)/~~~
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本日も最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!
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